社内の風通しを良くする方法
組織を変える、ということに思い込みがないか
社内の風通しを良くしたいということを考える時、それはつまり組織を変えるということでもあります。
しかし、そこに思い込みはないでしょうか。
ある特定の1つのことをすれば絶対に組織は変わる、どんな企業にも効果がある変革のためのツールがある、変革の方法さえ知れば誰が実行しても同じ効果が出るといったことを思っていないでしょうか。
こういった思い込みがある場合、それは1度忘れた方が良いでしょう。
問題解決のために理解しておくべきこと
社内の風通しを良くしたい、ということはいま現在は風通しが悪い、ということでしょう。
まずは、その背景に色々な種類の様々な原因があり、それらが複雑に絡み合っているということを理解しなければなりません。
たとえばそれは、これまでの経営方針であったり、情報システムやその運用であったり、社員の教育内容であったりと、様々なことが原因として考えられます。
これらの原因を幅広く調査することで、社内の風通しが悪いという問題に密接に関係しているものが見えてきます。
様々な原因が絡み合っているのですから、対策が1つだけでは問題を解決することが難しいのは当然であり、原因が複合的である以上対策も複合的かつ複数必要になってくるのです。
社内の風通しが悪い、という問題は一見よくある問題のようですが、実際にはこの問題が起こっているメカニズムを調べていくと、その企業特有の構造があります。
たとえばですが、風通しが悪いという同じ悩みを抱える会社が2社あったとしても、詳しくその理由を調査・分析してみると、一方の原因は予算管理システムとその運用のルールであり、一方では人事の制度とそのもととなっている人事の派閥が原因だった、といったことが起こりえるのです。
これだけ違った原因があるのですから、2社で同じ対策を取っても両方で上手くいく訳がありません。
一方では効果があったとしても、一方ではほとんど効果が出ない、というのが普通でしょう。
つまり、問題の解決にはこうすれば良い、という万能な方法がないのです。
なお、会社という組織は生きた人間が集まってできています。
人間には感情と思考があり、これが組織の問題を解決しようとする時、ハードルとなりえるのです。
たとえば経営者が100人いる社員に向けてメッセージを発信したとして、それを100人が全く同じように受け止め、理解して解釈するということはまずありえません。
100人いれば100通りになると考えたほうが良いでしょう。
賛成する人も反対する人もいますが、賛成している人のことだけを考えても、問題解決することはできません。
ではどうするのかと言えば、洞察力や観察力、人間の感情や思考についての専門的な知識と豊富な経験を持った人間が中心となり、対処していくしかないのです。
そういった人間が対処したとしても、簡単に短期間で解決することは難しいことが多い、ということも知っておきましょう。