若手社員の人材育成について
若手社員を育てるのが大変な理由
最近では、若い社員を育てる余裕がない、という会社が多くなっているようです。
これには、もちろんそれなりに理由があります。
以前にも増して短い期間で成果を出すことを求められ、とても人材を育成している時間がないというのがまず1つ。
もう1つが、仕事の分業化や専門化が進んでおり、ビジネス全体を教えるような機会が少なくなっているということです。
このような状況の中、若い社員が早く成長できるようにするには、どうするべきなのでしょうか。
若手社員を育てるには
若手社員を育てるための方法として、裏目標を持たせるというものがあります。
この裏目標というのは、部署やチームとしての開発目標や営業目標とは異なる、その本人だけの成長目標となります。
たとえばですが、若い社員が資料作成という仕事を任されたとします。
この時、普通にしているとただ資料作成という仕事を完了させる、ということがゴールであり、それ以外の意識はありません。
この時、そのプロセスの中にチャレンジすべき項目を追加するのです。
どういうことかと言えば、これまでやってきた仕事のやり方の中に改善点はないか探してみたり、なるべく先輩を巻き込んでみたり、資料作成についての手順整理を行ってみたりといったチャレンジ項目を追加することで、当事者意識を強く芽生えさせるのです。
つまりは、このチャレンジ項目を裏目標として設定させる、ということになります。
裏目標は簡単なもので十分
裏目標として設定するのは、難しい目標ではなくちょっとした簡単な目標で十分です。
こういったチャレンジをした結果、目に見える成果や数値として現れるものはなくても、若手社員自身のコミュニケーションスキルがアップしたり、仕事のスピードアップに繋がったりと、見えづらくても確実に効果が出ることが多いのです。
そして、裏目標を設定することで若手社員にとっても、メリットが生まれてきます。
そのメリットとは、明確な成長方向が分かる、自分の仕事に対して客観的に見ることができるようになる、毎日のやりがいに繋がるといったことです。
こうした裏目標の設定が習慣化すれば、仕事をどこかゲーム感覚で楽しみながらチャレンジすることができるようになってきます。
さらに、裏目標達成できたかできなかったかということは、比較的すぐに分かるためモチベーションが下がりにくくなるのです。
ただし、裏目標の設定を義務化すると逆効果となってしまいます。
本人があくまでも自分の自由意志で設定する、ということが大切です。
さらに言えば、「裏」目標なのですから達成できたかどうか確認することもせず、好ましい成果が出ていれば褒めるようにすれば良いのです。
こうして裏目標を設定することの面白さを知れば、自分から積極的に裏目標を設定していき、成長につながっていきます。
適切な裏目標への誘導は適宜行う
新人に裏目標を設定させると、適切な目標が立てられないことが多々あります。
彼らは自分が成長するための目標を立て慣れていないので、絶対に達成する甘い目標を立てたり、逆に実現不可能な目標を立ててしまうのです。
私の知人の優秀なマネージャーのエピソードを紹介します。
彼は担当したインターン生の新人に裏目標を立てさせたところ、新人は「海外旅行に行くための貯金をする」という裏目標を立ててきました。
仕事には関係ありませんし、普通なら怒る場面です。
しかしマネージャーの彼は決して否定せず「海外旅行に行きたいの?どこ?」と話を合わせました。
新人は昔からアメリカで一人旅することに憧れている、ということを聞き出したかれは「じゃあ英語が喋れないといけないね。きみ、英語は得意?」と問いかけます。
新人は科目としての英語は得意でしたが、英語で会話できる域には達していません。
そこでマネージャーは「裏目標、海外旅行で一人旅できるくらい英語力をつけるにしてみたら?」と提案。
新人はマネージャーが協力的なことにやる気を出し、英語学習を進めていきました。
英語力が上達し、自信が付いてきたころ、マネージャーは留学をしてみてはどうかと提案しました。
実は会社の取引先に外資系企業が増え始め、ちょうど英語ができる人材が足りていなかったのです。
アメリカ留学は様々な方法がありますが、日本人受入れ制度のあるNCN米国大学機構だと、600の専門分野から自由に選べます。
参考:アメリカ留学・大学進学ならNCN米国大学機構
インターンの彼は、まさか自分が留学して専門分野を学べるとは夢にも思っていなかったそうです。
マネージャーの提案に大喜びして、留学後無事に新卒として入社し、外国人の取引先相手にバリバリ仕事しているとのことでした。
これは極端な例ですが、このように新人のモチベーションがどこにあるか聞き出し、そこから欲しい能力と繋げていくのは有効な方法です。
当初、マネージャーの彼は少し英語が話せるくらいになればいいと思っていたそうですが、新人のやる気に引きずられて留学を提案してしまったそうです。
やる気を引き出せば人はすごい力を発揮するものです。やる気と裏目標を組み合わせれば、時にすばらしい結果を生むでしょう。